議会質問
個人質問‐山本 力
民主・立憲フォーラムの山本 力でございます。ただいまから個人質問を行います。
まず、1点目は、中核市移行を振り返って質問いたします。
吹田市は中核市に移行して2年半になろうとしておりますけれども、この移行事業についての評価と、今後の課題についてお伺いをいたします。
移行初年度、令和2年(2020年)4月、当時はちょうどコロナ禍初めの時期で、吹田市が所管し始めた保健所業務が超多忙の中でしたので、中核市スタートの実感も薄いものだったことは仕方のないことだと思っております。
吹田市は市民への説明で、中核市になると、大阪府が行っている事務のうち、新たに約2,500の事務を市が担うことになります。これにより、市民に身近なところで行政を行うことができるようになり、きめ細かな対応が可能となりますと掲げていましたが、この2,500の事務の移行状況、人員体制については予定どおり進んだのか確認するとともに、事務の移譲による効果の検証は、今のところ、どの程度行われているのかお尋ねをします。
また、移行初年度による財政的影響額、これは移行に伴う歳出と歳入の差でございますが、これは約9億円としていましたが、結果的には財政的影響はどの程度だったのか。地方交付税への影響にも触れつつお示しをください。
中核市移行前、2018年のパブリックコメントで、市民から寄せられていた声は、中核市移行に期待するよりも、財政的影響や新たな負担の増加により、市民サービスが低下しないかという声が多かったように思いますけれども、このようなデメリットを心配することは払拭できたと考えておられますでしょうか。いずれにしましても、移行による権限移譲で得られたことをメリットとして、今後取り組まれますことを要望いたします。
2番目、中学校給食全員喫食について質問いたします。
令和8年度の吹田市中学校全員喫食実施に向け、今年の7月をめどに、摂津市、吹田市両市で共同実施の判断をしたいとの、5月定例会での同僚議員質問に対する教育委員会の御見解がありましたけれども、先般摂津市吹田市両市による共同の給食センターは断念されたと伺っております。
今後は、吹田市独自で中学校全員喫食の実施を検討していくということで、いわば仕切り直しということだと思いますが、この状況と今後の取組、実施スケジュールについてお伺いをいたします。
全員喫食を検討していかれますけれども、給食調理は市内小学校のように、学校給食自校方式が理想と思いますけれども、吹田市の中学校の施設状況では、現実的に厳しいと思われることから、センター方式で1か所にするよりも、危機管理という点からも、複数の給食センターに分散させた設置でもよいのではないかと考えますが、どうでしょうか。
現在の学校給食では、平成17年に制定された教育基本法、平成21年の学校給食法の改正などにより、学校給食の目的が栄養補給から食育の推進の考え方も含めたものに変化しております。平成21年4月に、学校給食衛生管理基準が施行され、学校給食における食の安全確保のため、調理場へのドライシステムの導入や、腸管出血性大腸菌O157、ノロウイルス対応などの衛生管理基準への適合が求められております。
加えて、HACCP、ハサップ、厚労省の世界的衛生管理基準、この概念を取り入れた大量調理施設衛生管理マニュアルを遵守していく必要もあります。また、食物アレルギーを有する児童、生徒が増加してきており、食物アレルギー対応もこれまで以上に重要となっております。
センター方式を取り入れる上で、これらの課題についてはどのように対応していくのかお示しをください。
また、このようなことからも、栄養教諭配置は余裕のある体制が望ましいと思いますが、配置方針についてお伺いをいたします。
次に、児童虐待の防止について質問いたします。全国の児童相談所での児童虐待に関する相談対応件数は、令和2年度で20万5,044件で過去最多となっております。平成27年度の10万3,286件から比べても、倍の件数の増加傾向にあり、大阪府においては令和2年度は1万6,055件という数値が厚労省のホームページで公表されておりますけれども、吹田市管内での状況はどのような状況でございましょうか。吹田市における児童部家庭相談室での対応の状況、種別、経路別、対応別についてお尋ねいたしますとともに、大阪府吹田子ども家庭センター、児童相談所との連携状況についてはどのような基準に基づき、行われているのかお示しをください。
また、吹田市は中核市に移行した現在、子供への虐待防止の体制の充実を考えると、吹田市が児童相談所を持つことも、今後検討してはどうかと考えますが、御所見をお聞かせください。また、国では2023年4月に子ども家庭庁発足を目指しているそうで、これは母子保健法と児童福祉法を一本化すること、子育て世帯支援の一元化が前提となっているようで、2024年4月に全国市町村に子ども家庭センターを設置することになることも想定して、児童相談所の設置について検討すべきと考えます。
4番目、最後の質問でございますが、スクールソーシャルワーカー、SSWの充実について質問いたします。
SSW、1人当たりの受け持ち件数、相談件数は近年増加してきております。令和3年度では、SSW12名のうち6名は二つの中学校ブロックを担当しておられますが、現状では十分な体制でしょうか。拡充する必要があれば、検討するお考えはありますでしょうか。
また、SSWは同じ中学校ブロックを継続して担当することが適切と考えるとともに、学校との円滑な連携も必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。
以上で1回目の質問、終わります。
【行政経営部長 答弁】中核市移行について
中核市移行につきまして、行政経営部からお答え申し上げます。
移行前には、平成30年(2018年)7月に策定した中核市移行基本計画をベースに、移譲事務、人員体制、財政的影響額等の見込みにつきまして、適宜時点修正も加えつつ、お示しをしておりました。
議会の御理解、御協力もいただきながら取組を進め、令和2年(2020年)4月の移行時点で、大阪府からの派遣も含め、おおむね見込みどおりの人員体制を整え、想定しておりました約2,500の事務の移譲を受けることができております。
その効果の検証につきましては、本年度着手しております第4次総合計画の中間見直し作業の中で進めているところでございます。
また、財政的影響でございますが、移行初年度の決算ベースで申し上げますと、歳出では、保健所関連経費を中心に、人件費を含めまして約14.1億円の増、歳入では、地方交付税の約4.4億円増を含め約4.9億円の増で、差引影響額は約9.1億円でございました。
これを基本計画策定時点の見込み額と比べますと、歳入、歳出は、いずれも、移行前には想定していなかった新型コロナウイルス感染症関連の影響もあって多くなり、差引影響額は同計画で試算の9億円に近い金額となっております。
また、移行による負担増を理由とした市民サービスの縮小などはございません。
今後とも移行によって得られた権限を生かし、市民満足度の向上につながるサービスの充実に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
【学校教育部長 答弁】中学校給食に係る質問について
続きまして、中学校給食に係る御質問につきまして学校教育部から御答弁申し上げます。
現在、本市単独での給食調理施設の整備に向けて、給食センター方式を前提に整備手法やスケジュール等、様々な想定を行っているところでございます。
今後、これらを踏まえて、整備方針を定めていくとともに、令和8年度中の全員喫食の開始に向け、検討を進めてまいります。
次に、複数の給食センターの設置でもよいのではないかということでございますが、複数の給食センターを整備する場合は、調理に必要な人員が多くなり、その人材確保が難しくなることや、建設事業費及び運営費が単独整備よりも高額となることなどから、現時点では健都イノベーションパークの吹田市用地の1か所で整備を第一候補として検討を行っているところでございます。
次に、学校給食衛生管理基準及びHACCPへの対応についてでございますが、学校給食は安全、安心な給食を提供することが何より重要なことであると考えております。このため、給食調理施設の建設や施設の運営に当たっては学校給食衛生管理基準はもとより、危害分析・重要管理点方式とその適用に関するガイドラインに規定されたHACCP、ハサップの考え方に基づき、食中毒等を発生させないための十分な対応ができる施設を整備するとともに、万全の衛生管理体制等を構築する必要があると認識しているところでございます。
なお、アレルギー対応についてもアレルギー食材の混入を防ぐため、専用の調理室を確保することを想定しております。
最後に、栄養教諭の配置方針でございますが、食育の推進は全員喫食導入の目的の一つであり、その推進における栄養教諭の果たす役割は非常に大きいと考えております。今以上に適切な配置を行う必要があると認識しているところでござい
ます。
以上でございます。
【家庭児童相談担当理事 答弁】児童虐待の防止について
続きまして、児童虐待の防止について御答弁申し上げます。
本市家庭児童相談室における令和3年度(2021年度)の児童虐待対応件数は1,385件で、平成28年度(2016年度)の869件と比べ、この5年間でおよそ1.6倍の増加となっております。
種別は心理的虐待が788件と過半数を超え、次いで身体的虐待336件、ネグレクト248件、性的虐待13件となっております。
経路別では、子ども家庭センターが675件、学校や保育所等の関係機関が630件、近隣や家族等が80件となっており、対応別では、要保護児童等としての対応が931件、相談や助言が454件となっております。
大阪府吹田子ども家庭センターとの連携につきましては、主に、虐待の重症度が重度以上の事案や一時保護の検討が必要な事案など、子ども家庭センターの助言や判断が必要となるような事案については共同で対応しております。
児童相談所の設置につきましては、子供の分離保護や親子の再統合など、非常に高度な専門性を必要とする業務に対応できる人材の確保や、一時保護所等の施設整備など、様々な課題があるため、長期的な視点で慎重に検討しなければならないと考えております。
なお、児童福祉法の改正により、市町村に対して設置が努力義務とされたこども家庭センターにつきましては、子育て世帯に対する包括的な支援のための体制を強化するものであり、今後も国の動向を注視してまいります。
以上でございます。
【教育監 答弁】スクールソーシャルワーカーに関する質問について
スクールソーシャルワーカーに関する御質問につきまして、御答弁申し上げます。
いじめ、不登校や虐待などの問題が増加し、子供を取り巻く課題が複雑化、困難化する中、既存の体制では事態が顕在化、重篤化してからの対応になることが多い状況でございます。
教育委員会では、早期発見、早期対応など手厚い支援を行えるよう、体制を拡充する必要があると考えており、現在は非常勤の配置としている福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカー及び心理の専門家であるスクールカウンセラーの常勤化、正職化の検討を進めているところでございます
また、同一の担当者による継続した支援は、子供やその家族、学校や地域との信頼関係の構築や円滑な連携に一定の効果があると考えております。
以上でございます。
2回目の質問は意見、要望とさせていただきます。
中核市移行については、御答弁では、事務移行、人員数、財政的影響についてほぼ想定内ということであり、第4次総合計画中間見直しの中で、移行効果の検証をしていかれますけれども、また、市民に改めて報告をしていただくことを要望いたします。
改めて、中核市として市民ニーズに即したきめ細かな対応を行っていくこと、都市計画や環境に関する事務の移譲により、独自性を生かしたまちづくりを進めることなど、今後中核市として実施可能な施策の展開を要望いたします。
また、中核市移行を市民に実感していただくような記念行事については、いまだコロナ禍の影響で難しいこともありますが、今後の様々な周年記念行事などに合わせ、行ってはどうかと存じます。
以上で、2回目の質問を終わります。ありがとうございました。
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