議会質問
個人質問‐川本 均
民主・立憲フォーラムの川本均でございます。個人質問をさせていただきます。
まず初めに、市内の自然環境の保全と活用についてお伺いをします。
生物の多様性の保全に向けた世界的な取組が進められている中、昨年6月に英国で開催されました主要7か国首脳会議で、各国2030年までに、国土の陸域と海域の30%を保全・保護することで一致し、我が国も絶滅危機に瀕している動植物の保護や生物多様性の保全のため、国が指定する国立公園や鳥獣保護区等の自然保護区を現在、陸地で20.5%、海域で13.3%を陸域、海域ともに30%以上に引き上げる方針を示しています。この中では、従来の制度に基づく区域を拡大するとともに、今年度から民間の土地などを生物多様性の保全に貢献する場所として、民間等の取組により保全が図られている地域や、保全を目的にしない管理が結果として自然環境を守ることにも貢献している場所を認定するOECMという制度を試行的に導入するとしております。対象地としては、豊かな自然を有する都市公園、寺や神社、企業が所有する山林や緑地などが想定されます。そこで、本市において認定が想定できる紫金山公園及び千里緑地について数点お伺いをいたします。
1点目、紫金山公園は昭和62年度に事業着手し、平成12年度には市民参画の下、自然、歴史の保全、活用を中心とした公園計画の見直しが行われ、平成22年完成を目指し、整備を進められてこられましたが、現況から、吹田風土記の丘紫金山公園基本計画による整備は終了しているのでしょうか、御認識をお聞
かせをください。
2点目、ビジターセンターは未設置ですが、設置に向けた検討状況をお聞かせをください。設置に当たって、来園者へ公園の自然を解説し、市内の自然観察学習の拠点となるよう基本構想を作成されているとのことですが、拠点には市内に存在する生物多様性の保全と活用に寄与する仕組みも含め検討をすべき
と思いますが、いかがでしょうか、お聞かせをください。
3点目、平成10年(1998年)から紫金山みどりの会などの各種団体の方々でコバノミツバツツジの復元など、管理活動や手作りの遊歩道整備を行政と協働して行っていただいておりました。吹田風土記の丘紫金山公園基本計画を策定後は、基本計画に基づき、歴史と自然を大切にした公園づくりを目指すことを目的として設立された、紫金山公園運営協議会により行われてきましたが、活動をされている方々の高齢化により、活動維持が年々難しくなってきていると仄聞をしております。活動の状況についてお聞かせをください。
4点目、紫金山公園は、官民連携によるパークマネジメントの推進により一層の魅力向上を図ることを目的にPark-PFIにより再整備及び指定管理者制度の導入が進められている予定の公園の一つですが、紫金山公園の特色である自然環境と歴史遺物を守り、改めて生物多様性の保全と活用に貢献する場
所として、紫金山公園だけにとどまらず、周辺用地を合わせた区域をOECMとして国の認定を早期に受け、紫金山公園、博物館と吉志部神社、釈迦ヶ池など、地域資源を含めた地域としての魅力向上とボランティアによる自然環境保全活動活性化を含めたプランを検討されてはいかがでしょうか。
実効あるプランは天然記念物のヒメボタルや大阪府絶滅危惧種である希少植物が生息する千里第4緑地の自然環境保全と活用にも有効であると考えます。千里第4緑地も紫金山公園と同様に保護活動を長年続けておられるボランティアの高齢化などで活動の継続が難しくなっているとも仄聞しております。市内に残る貴重な生物の生息地も候補地として検討されてはいかがでしょうか、市長並びに担当部局の御所見をお聞かせをください。
次に、成年後見制度についてお伺いをいたします。
高齢化の進展により充実していかなければならない制度の一つに、成年後見制度が挙げられます。認知症、知的障がいその他の精神上の障がいがあることにより財産の管理や日常生活等に支障がある人たちを社会全体で支え合うことが、高齢社会における喫緊の課題であり、かつ、共生社会の実現に資することです。しかし、成年後見制度は、これらの人たちを支える重要な手段であるにもかかわらず、十分に利用されていないことから、成年後見制度の利用の促進に関する法律が平成28年4月15日に公布され、同年5月13日に施行されました。本法律では、その基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、また、基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、成年後見制度利用促進会議及び同制度利用促進専門家会議を設置され、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的、かつ計画的に推進するため、平成29年3月24日に成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定されました。平成30年4月には厚生労働省は成年後見制度利用促進室を設置し、同制度の利用促進基かつ推進するとされています。そこで数点お伺いをいたします。
1点目、今後の成年後見の需要の見通しや、どのような活動を行っているのかなど、現状と体制についてお聞かせをください。
2点目、国において平成29年に中核機関の整備や成年後見制度の利用促進に関する計画の作成を求められていますが、以前、同様の質問の答弁に、利用者の相談窓口となる中核機関の設置や成年後見制度の利用促進に関する計画の在り方につきましては、令和3年度(2021年度)を初期とする第4次地域福祉計画の策定の中で検討を進めてまいりますとの答弁をいただいています。第4次地域福祉計画の策定は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、策定に係る期間を令和3年度末まで1年延長され、先般、計画書が配付されましたが、中核機関の設置や、成年後見制度の利用促進に関する計画の在り方について、どのような検討をされたのかお聞かせをください。
3点目、知識の習得は本制度において非常に重要なことであります。厚生労働省が主催する成年後見制度利用促進に関する集合研修、例えば成年後見制度利用促進体制整備研修などがありますが、どのような研修に、どれくらいの頻度で参加したことがあるのか、お聞かせをください。
4点目、成年後見制度は、人の財産に踏み込んだ管理が求められ、たとえ親族さえも関与できない場合がある制度です。それゆえ信頼性のある制度づくりが求められています。弁護士、司法書士や地域の金融機関との連携も重要であります。今後、どのように進めていかれるのか、お聞きかせをください。
次に、生産緑地の今後についてお伺いをいたします。
生産緑地の2022年問題が、今後の都市農業の在り方やまちづくりについて少なからずとも影響が出てくるのではないかと考えます。本市の生産緑地地区は、平成4年度から農地の所有者の申出により、良好な生活環境の保全や都市災害の防止を目的に、貴重なオープンスペースとして計画的に保全していく必
要があることから、営農を前提として、生産緑地として都市計画法上に位置づけ、緑地の保全に努めてこられたところですが、多くの生産緑地の指定期間である30年を令和4年度に迎え、今後は生産緑地が解除され農地が宅地に転用されることが予想されます。そこで、数点お伺いをいたします。
現在、本市の全農地面積及び、内生産緑地に指定されている面積、何地区、何筆あるのか、お聞かせをください。
2点目、指定から30年の営農期間を迎える農地について、農地の所有者からの申入れにより、その期限が10年間延長される特定生産緑地に移行できることになっていますが、本市では、どの程度の農地が特定生産緑地に移行されるのか。また、それらの営農の状況に問題がないのか、お聞かせをください。
3点目、営農が不可能になった場合、生産緑地の買取り申出が可能になります。そのときの手続についてお聞かせをください。
4点目、以前から緑地の保全、農業振興などはもちろんのこと、活用の検討を求めており、平成28年11月定例会で、当時の副市長から、生産緑地の活用方策としましては、市民農園化などを含めまして、都市農業振興基本法を活用するなどにより市民全体で営農などが継続されるような施策を検討する必要があ
ると考えております。ただ、農業の振興政策だけで生産緑地を維持することは困難であるというふうに考えていますので、市への買取り申出がなされた場
合には、緑の配置、または公共施設としての活用といった様々なまちづくりの視点から買取りができる体制を整えていく必要があると存じます。そのため、現在、土木部に対しましては、第2次みどりの基本計画改訂版を踏まえた公園緑地や保全すべき緑地として活用可能、かつ必要な生産緑地の洗い出しを、また、都市計画部に対しましては、生産緑地の買取りに対応するための財源確保方策の検討を、それぞれ指示しているところでございますとの前向きな答弁をいただいております。担当部局の検討状況をお聞かせをください。
5点目、最後に、本市の特定生産緑地をはじめとする、その他の農地をいかに保全し活用するか、今後の本市の都市農業の将来について、理事者はどのように考えておられるのか、お聞かせをください。
これで、1回目の質問を終わります。
【土木部長 答弁】市内の自然環境の保全と活用について
市内の自然環境の保全と活用についての数点について、御答弁申し上げます。
初めに、吹田風土記の丘・紫金山公園基本計画に基づく公園整備事業につきましては、平成22年度(2010年度)の吹田の里ゾーンの整備をもって終了しております。
次に、生物多様性の保全と活用に寄与する取組につきましては、柴金山公園の今後の検討を進める中で、関係部局と連携して考えていく必要があるものと認識しております。
次に、紫金山公園運営協議会は本公園の施設整備や管理、運営の活動により歴史と自然を大切にした公園づくりを目的としたものであります。吹田の里ゾーンの整備年度に当たる平成22年度に会議を開催して以降は、協議会としての活動は行っていないものの、協議会を構成する各団体によっては個別の活動が
行われている状況でございます。また、活動されている方々の高齢化についても、継続に当たっての課題であるものと認識いたしております。
次に、柴金山公園の官民連携によるパークマネジメントについて、まずは担当から御答弁申し上げます。紫金山公園周辺区域及び千里緑地(第4区)等の貴重な生物の生息地における、民間による保全活動の活性化を目的とし、来年度からの本格実施に向けた試行段階となっている環境省所管のOECM認定につきましては、今後の状況を見ながら取組の検討を行ってまいります。また、紫金山公園周辺区域の魅力向上及び自然環境保全活動活性化に係るプラン検討に
つきましては、今後、紫金山公園の魅力向上を図ることとしていることから、Park-PFIを活用した再整備及び指定管理者制度の導入に伴い、周辺の地域資源と連携した魅力向上策の検討を行うとともに、当公園で自然環境保全活動をされている紫金山みどりの会など各種団体の活動の維持、さらには発展に取り組みながら、新たな関係団体等の再編についても検討してまいります。
最後に、生産緑地の今後について、御答弁申し上げます。吹田市第2次みどりの基本計画(改訂版)を受け、吹田市都市公園等整備・管理方針を令和2年(2020年)5月に策定いたしました。本方針において、身近な都市公園等の配置・規模・機能を計画する区域単位として、都市公園等計画区域を設定するとともに、区域における身近な都市公園等の最適な配置・規模を示す、都市公園等配置・規模標準を設定いたしました。これらの方針を踏まえ、都市公園が不足する地域の生産緑地は把握しており、このうち公園等の設置適地を決めるための条件整理を進めてまいります。
以上でございます。
【地域教育部長 答弁】
続きまして、地域教育部からお答え申し上げます。
紫金山公園ビジターセンターにつきましては、平成21年度(2009年度)から平成22年度(2010年度)にかけて庁内で検討委員会を設け、基本構想を策定したものでございます。このビジターセンター構想につきましては、今後、紫金山公園の魅力向上に係る議論を進める中で、基本構想で掲げた機能等を整理
し、より地域の魅力向上につながるよう、関係部局とともに改めて検討してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
【福祉部長 答弁】成年後見制度について
成年後見制度につきまして、福祉部から御答弁申し上げます。
初めに、今後の成年後見制度の需要の見通しにつきましては、令和2年(2020年)3月に取りまとめました市民アンケートにおいて、自分自身に支援が必要となった際に利用を希望する人は42.3%となっており、高齢化が進み認知症高齢者の増加等が見込まれる中、さらに需要は高まっていくものと推測してお
ります。
また、制度の利用促進に向けた活動といたしましては、地域包括支援センター等で認知症の相談を受けた際に、その状況に応じて早期に制度利用の準備を支援することや、出前講座等を通じて、市民や事業所への制度内容の周知に取り組んでいるところでございます。
次に、第4次地域福祉計画の策定に当たりましては、平成28年(2016年)に施行された、成年後見制度の利用の促進に関する法律の趣旨を踏まえ、本制度の正しい理解と認知度の向上、権利擁護支援の地域連携ネットワークの中核となる機関の整備等の必要性について、吹田市社会福祉審議会地域福祉計画推進専門分科会で御意見を頂いた上で、成年後見制度利用促進計画として位置づける形で策定しております。
次に、研修の受講につきましては、議員御指摘の厚生労働省が主催する研修のほか、大阪府地域福祉課が主催する研修や、弁護士会が主催する意見交換会等に関係部局の職員が参加し、知識の習得、スキルアップに努めております。
最後に、今後の進め方につきましては、成年後見制度に関する広報、利用促進、後見人支援等の機能を担う中核機関の設置に向けて、弁護士や司法書士、社会福祉士等で構成される検討会議を設置し、専門的な視点による御意見を頂きながら、中核機関に必要な機能や運営方法をはじめ、多様な相談・支援機関
との連携等について検討を行っていく予定でございます。
以上でございます。
【都市計画部長 答弁】生産緑地の今後について
都市計画部にいただきました生産緑地に関する数点の御質問につきまして、御答弁申し上げます。
初めに、本市の全農地面積は、令和4年(2022年)3月31日時点で約51.63ヘクタールとなっております。また、令和3年11月30日時点で、都市計画で定める生産緑地地区は約44.11ヘクタール、182地区、737筆でございます。
次に、特定生産緑地につきましては、令和4年に生産緑地の都市計画決定告知から30年を迎える生産緑地のうち、約9割を特定生産緑地に指定する見込みでございます。また、特定生産緑地の指定に当たりましては、生産緑地として適正に営農されていることを条件としており、農地パトロールを実施する農業
委員会とも連携を図りながら、適正に営農されていることを確認しております。
次に、生産緑地の所有者から買取りの申出がなされた場合の手続といたしましては、あらかじめ把握している大阪府や関連部局の生産緑地の買取り希望意向を基に、当該生産緑地の買取り意向について照会手続を行った後、買取りの申出があった日から起算して1か月以内に、当該生産緑地を買い取る旨、また
は買い取らない旨を所有者に通知します。買い取る旨の通知をした場合は、通知後に買い取る部署が所有者と協議することになります。買い取らない旨の通知をした場合には、他の農業従事者へ取得のあっせんを行いますが、買取りの申出があった日から起算して3か月以内に当該生産緑地の所有権移転が行われ
なかったときは、当該生産緑地にかかっている営農義務や建築規制等の行為制限が解除となります。
最後に、都市計画部では、毎年、大阪府や関連部局の買取り希望意向を把握し、買取り申出の際には、買取り希望の部局へ照会をしております。
令和4年に告示から30年を迎える生産緑地のうち、約9割を特定生産緑地に指定する見込みとなっていることから、今年度は生産緑地の買取り申出に備え、各部における予算措置に向けた検討をより具体的にするため、特定生産緑地の指定動向について、関連部局へも改めて情報の共有を図ってまいります。
以上でございます。
【都市魅力部長 答弁】
次に、本市における都市農業の将来像につきまして、都市魅力部より御答弁申し上げます。
近年、農地及び農地周辺の開発により、営農環境はますます厳しい状況でございますが、本市の都市農業の将来像としましては、都市農地の持つ様々な機能の中で、特に農産物の供給の機能を充実するため、鮮度などの付加価値をアピールすることで地元吹田市の農産物の販売の増加及び安定化を図り、農業者
の農業への意欲の向上を促し、農地の保全・活用に結びつけてまいりたいと考えております。
また、自然や土との触れ合いにより、市民の農業・農地への理解の醸成のため実施しております市民農園及び農作業体験農園などの事業も継続し、本市において、より多くの農地が保全し活用されるよう努めてまいります。
以上でございます。
【市長 答弁】
自然と無縁な生活圏がないのと同様に、人の生活と無縁な自然もございません。特に、吹田市では生物多様性保全において、その重なりの部分を意識をしないと、この高密度都市で自然か人口かという二元論になってしまいます。そのような、言わば自然と人為空間のグレーゾーンの生態学的価値を、御照会のございましたOECMとして明らかに位置づけたことは生物多様性保全上、重要な取組だと認識をしております。本市における、その大きなエリアとは言えませんが紫金山公園や千里緑地は、御提案いただきました様々なアイデアを参考にさせていただき、引き続き生物多様性の保全に取り組んでまいりたいと存じます。
以上でございます。
議長のお許しを頂き、2回目は要望とさせていただきます。御丁寧に前向きな御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。
2点、要望させていただきたいというふうに思います。
まず、紫金山公園ビジターセンターの設置についてなんですけども、もともと構想そのもの自体が学習施設、自然学習施設ということで、所管が地域教育部ということで、そちらの切り口から御答弁をいただいている関係で、ビジターセンターの構想は、今後、紫金山公園魅力向上の議論を進める中で、基本構
想で掲げた機能等を整理し、より地域魅力向上につながるよう関係部局とともに改めて検討してまいりたいということで御答弁いただいております。
実は、自然環境ということで、拠点にしてほしいという質問だったもんで、環境部さん、また土木部さんのほうにもちょっとヒアリングさせていただいてですね、十分ですね、ビジターセンターにつきましては、もう一歩踏み込んで自然観察学習の拠点プラス、提案させていただいております、市内に存在する
生物の多様性の保全を活用する仕組みづくりも含めたことを検討していただきたいということを要望をしておきたいというふうに思います。
もう1点ですけども、成年後見人制度は専門性の高いスキル及び経験値が必要であります。職員が研修に参加されていることですが、個人的スキルは当然のこと、チーム全体の継続的なスキルアップも必要です。職員の異動等により後退しないよう、職員間の確実な引継ぎ等、継続的に知識を増やし、継続可能な体制づくりをお願いをしておきます。そして、周知活動だけでなく、市民を交えた勉強会など、積極的な推進と今後、コロナの影響による新しい生活様式、高齢化、孤独と分断が広がることが想定されます。
成年後見制度は、本市においても真剣に考えていかなければならない課題であります。スムーズな運用、信頼ある制度のためにも積極的に計画を立てて、実行していかれることを強く要望し、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
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